不動産を売ったときの税金と控除

譲渡所得税
不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合は、原則として、所得税・復興特別所得税・住民税が課税されます。
不動産の譲渡所得は、給与所得などと分けて税額を計算する「申告分離課税」の対象です。確定申告は、原則として売却した翌年の2月16日から3月15日までに行います。なお、土日・祝日等により申告期間が変わる場合があります。
マイホームの3,000万円特別控除などの適用を受けるには、特例によって税額がゼロになる場合でも、確定申告が必要です。
所得税の計算方法
収入金額 ー(取得費+譲渡費用)- 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
課税譲渡所得金額 ×税率 =所得税額
例)親が50年前に1000万円で買った不動産を、子が4000万円で売却するケース

1975
50年前に親が住宅を1000万円で購入
相続した実家などを売却する際は、昔の売買契約書や領収証などで購入時の金額を確認できるかどうかによって、税額が大きく変わることがあります。
相続した不動産の取得費は、原則として、亡くなった方が購入した当時の購入代金や仲介手数料、登記費用などを基に計算します。なお、建物については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。
取得費が分からない場合は、売却価格の5%を「概算取得費」として計算できます。
例えば、4,000万円で売却し、概算取得費を用いる場合、取得費は200万円(4,000万円×5%)となります。実際の取得費を確認できる場合と比べ、税負担が大きくなる可能性があるため、売却前に購入当時の資料を探しておくことをおすすめします。

2025
相続した古家付き土地を4,000万円で売却した場合の例
売却にあたり、次の費用を支払ったとします。
・仲介手数料 138万円
・抵当権抹消等の登記費用 5万円
・売買契約書の印紙代 1万円
・家財撤去費用 21万円
支出の合計は165万円ですが、この全額が税務上の「譲渡費用」になるとは限りません。
このうち、売却のために支払った仲介手数料138万円と、売主が負担した印紙代1万円の合計139万円は、譲渡費用に含まれます。
抵当権抹消費用は原則として譲渡費用に含まれません。また、その他の登記費用や家財撤去費用については、費用の内容や契約条件などにより扱いが異なるため、税理士または税務署への確認が必要です。
譲渡所得は、収入金額から取得費と、税務上認められる譲渡費用を差し引いて計算します。
※この例では、固定資産税等の精算金や特別控除は考慮していません。

長期譲渡所得の計算例
(売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合)
収入金額(売却代金) 4,000万円
差し引く取得費 1,000万円
差し引く譲渡費用 139万円
4,000万円 − 1,000万円 − 139万円 = 2,861万円
課税長期譲渡所得金額 2,861万円
※この例では、3,000万円特別控除などの特別控除は適用していません。
※取得費1,000万円は、建物がある場合、その減価償却費相当額を差し引いた後の金額とします。
課税譲渡所得が2,861万円で、長期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超)に該当する場合の概算税額は、次のとおりです。
税額合計 約581万円
【内訳】
・所得税(15%) 429万1,500円
・復興特別所得税(所得税額の2.1%) 約9万121円
・住民税(5%) 143万500円
合計 約581万2,121円
※通常の長期譲渡所得の税率による概算です。実際の納税額は、控除・軽減税率等の適用や、申告時の端数処理などにより異なる場合があります。
長期譲渡なら税率約20%、短期譲渡なら約40%
長期譲渡所得と短期譲渡所得の違い
不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合は、原則として税金がかかります。税額は、取得費・譲渡費用や、適用できる特別控除を差し引いた「課税譲渡所得」に税率を掛けて計算します。
この税率を左右するのが、不動産の「所有期間」です。売却した年の1月1日時点での所有期間により、次の2つに区分されます。
【長期譲渡所得】
所有期間が5年を超える場合
・所得税 15%
・復興特別所得税 0.315%
・住民税 5%
合計 20.315%
【短期譲渡所得】
所有期間が5年以下の場合
・所得税 30%
・復興特別所得税 0.63%
・住民税 9%
合計 39.63%
※上記は通常の税率です。一定の要件を満たす場合は、軽減税率などの特例が適用されることがあります。
※復興特別所得税は、所得税額の2.1%です。上記では、課税譲渡所得に対する割合に換算して表示しています。
■税額はどのくらい変わる?
例えば、課税譲渡所得が1,000万円の場合、通常の税率で計算すると、税額は次のようになります。
・長期譲渡所得:203万1,500円(約203万円)
・短期譲渡所得:396万3,000円(約396万円)
同じ課税譲渡所得でも、税額に約193万円の差が生じます。
※実際の納税額は、申告時の端数処理等により異なる場合があります。
■所有期間の数え方に注意
購入から売却までに5年を超えていても、長期譲渡所得になるとは限りません。所有期間は、売却した年の1月1日時点で判定します。
例えば、令和3年7月に購入した不動産を令和8年8月に売却する場合、売却時点では購入から5年を超えています。しかし、令和8年1月1日時点では5年以下のため、短期譲渡所得に該当します。
この例では、令和9年以降に売却すると、長期譲渡所得に該当します。
■相続した不動産の場合
相続した不動産の所有期間は、原則として、被相続人(亡くなった方)が取得した時期を引き継いで判定します。
そのため、相続後すぐに売却しても、売却した年の1月1日時点で、被相続人の取得時から5年を超えていれば、長期譲渡所得に該当します。
■売却前に税額の確認を
不動産売却では、所有期間や特例の適用によって税額が大きく変わることがあります。
当社では、売却価格の査定に加え、税負担の目安を把握するための簡易シミュレーションや、各種特例の概要をご案内しています。お気軽にご相談ください。
※個別の税額や特例の適用可否については、税理士または税務署にご確認ください。
特例を利用すると、譲渡所得に対する税金が0円になる場合があります
3,000万円特別控除の計算例
マイホームの3,000万円特別控除が適用できる場合、次のように計算します。
収入金額(売却代金) 4,000万円
▲ 取得費 1,000万円
▲ 譲渡費用 139万円
= 特別控除前の譲渡所得 2,861万円
▲ 特別控除額(最大3,000万円) 2,861万円
= 課税譲渡所得 0円
※特別控除額は、控除前の譲渡所得の金額が上限です。
この場合、課税譲渡所得が0円となるため、この売却に係る所得税・復興特別所得税・住民税は発生しません。
ただし、税額がゼロになる場合でも、この特例の適用を受けるには確定申告が必要です。
特例の適用には一定の要件があり、個々の事情によって適用の可否が異なります。詳しくは、税務署または税理士へご相談ください。
当社でも、不動産売却に関する一般的な税務情報や特例制度の概要をご案内しております。お気軽にご相談ください。